
定番レンタルサーバー「Xserver」より、マインクラフトのVPSサーバーサービスがリリースされました。
「Xserver VPS」によるマルチプレイサーバーの構築について、Xserver VPSの強み、実際の作成方法や管理ツールで行える機能・設定、実際に使ってみた快適さなどを紹介します。
Xserver VPSからマインクラフトサーバーがリリース
Xserverはレンタルサーバーでトップシェアを誇る最大手ですが、その会社のVPSサービスよりマインクラフトのマルチサーバーが2022年9月よりリリースされました。
Java版でマルチプレイをするためのマインクラフトサーバーは自宅パソコンでも作成できますが、「ポート開放を始めとする難しいネットワークの設定」・「サーバープログラムに耐えれるマシンスペック」が必要であることと、「自宅のPCをクラッキングなどのインターネット驚異に晒してしまうリスク」があって自宅パソコンをマルチサーバー化するのはハードルが高めです。
そこでサーバーをレンタルするのがVPSであり、自宅パソコンをマルチサーバー化するのに比べてセキュリティ面でも安心して使え、そしてXserver VPSなら簡単に作れるメリットがあります。

Minecraftマルチプレイするなら『Xserver VPS』
他社と比べたXserver VPSの強み
マインクラフトを簡単に作れるVPSはいくつかの会社から提供されており、「Xserver VPS」の他に「ConoHa VPS」と「さくらVPS」が代表的です。
その中でXserver VPSのメリットとしては最大手レンタルサーバー会社の安心度はもちろん、「マインクラフトサーバーの設定・バックアップができる【管理ツール】が用意されていること」、そしてマインクラフトサーバーが安定して動作するラインである2GBメモリの「利用料金が他社と比べてかなり安いこと」にあります。
簡単作成 | 管理ツール | 最低料金 | |
---|---|---|---|
Xserver VPS | ○ | ○ | 1,150円/月 (2GBプラン) |
ConoHa VPS | ○ | ○ | 2,033円/月 (2GBプラン) |
さくらVPS | ○ | × | 1,738円/月 (2GB石狩サーバープラン) |
※2023年3月現在の情報です。
※プランは1ヶ月契約の場合で、長期利用や割引クーポンは考慮に入れていません。
Xserver VPSがリリースされる以前はマイクラ管理ツールがある「ConoHa VPS」がマイクラユーザーに一番人気でした。
しかし現在はXserver VPSがリリースされ、価格も安くて管理ツールもあるため今後のトップシェアはXserver VPSになりそうです。
関連 さくらVPSによるマルチプレイまとめ【導入・MOD等】
関連 ConoHa VPSによる簡単マインクラフトサーバー立ち上げ
マインクラフトサーバーは1GBメモリプランでも動く場合もありますが、混み合った時に待ちが発生したり特にバージョンアップで動かなくなってしまうリスクがあります。
現にさくらVPSでは当方2022年に1GBプランでは動作しなくなったことを確認しています。
古いバージョンのマインクラフトを動作する場合は1GBプランでも良いかもしれませんが、基本的には2GBプランが最低ラインと思ったほうが良いでしょう。
Xserver VPSによるマルチプレイサーバーの作成手順
VPSのお申し込み
Xserverの会員登録後、VPSのお申し込みより紹介していきます。
マイクラサーバーは「ゲームサーバーのお申し込み」を選択して下さい。
次にご自身が契約したいプランやパスワードなどを設定します。設定項目を以下表にまとめます。
設定名 | 解説 |
---|---|
サーバー名 | デフォルトのままでOKですが、変更しても可です。 |
プラン | 希望のプランを設定します。 |
サーバーの契約期間 | 一括で長く契約すると月々の料金が割引されます。 |
イメージタイプ | Minecraft(Java版)またはMinecraft(統合版)を選択します。
とはいえVPSを使う人はほぼJava版になるかと思います。(統合版はわざわざマルチプレイサーバーを立てなくてもマルチプレイ出来るので) |
rootパスワード | コンソールで使用するパスワードを設定します。
単に最新版でマルチプレイするだけなら使いませんが、ワールドデータのアップロードやMOD化する場合はコンソールが必要になるため、忘れないように注意して下さい。 |
SSH Key | デフォルトの「設定しない」でOK |
設定できましたら「Xserver VPS利用規約」を確認の上、同意のチェックを押します。
その後は末尾の「お申し込み内容を確認する」の後、お支払いを完了させます。
サーバー設定中の待ち
お支払いを完了するとXserver VPSのログイントップページにサーバーが追加されますが、しばらくはサーバー設定中で待ちになります。
初回のサーバー設定が終わるまではおよそ2時間ほどとかなり長めです。
サーバー設定が完了するとメールで通知が来るので、メールを待つのが良いでしょう。
なお作成されるマインクラフトのバージョンは最新版となります。
接続許可ポートの全許可
なぜか初期設定では全てのポートが閉じられており、そのままではマイクラおよびマイクラマネージャーもアクセスできないようになっています。
なのでサーバーが開始されたらまずはポート設定を変更する必要があります。
作成したサーバーの「VPS管理」を開きます。
左のメニューの「接続許可ポート設定」か下の方にある「接続許可ポート」の「変更する」を押します。
接続許可ポートの全て許可を「ON」にし、「接続許可ポートを設定する」を押して保存します。
以上でマインクラフトのマルチプレイサーバーが作成完了となります。
作成したマルチサーバーへのアクセス
実際にマインクラフトからサーバーへアクセスしてみましょう。
トップ画面から「マルチプレイ」に入り、「サーバーを追加」を選択します。
ここで入力するサーバーアドレスは作成したXserver VPSのIPアドレスになりますが、IPアドレスはXserver VPSの管理画面で確認します。
(サーバー名は適当でOK)
トップページ等からサーバーのVPS管理画面に入りましょう。
このIPアドレスをコピーしてマインクラフトのサーバーアドレスに貼り付けます。
この時半角スペース等が混ざるとエラーとなりますので注意して下さい。
「完了」を押して登録すると、サーバー一覧に追加されているのでダブルクリックして接続してみましょう。
無事動作していることが確認できました!
友達からアクセスしてもらう場合も同様に「IPアドレス」を教えて接続してもらえばOKです。
なお統合版など異なるエディションでサーバーを作成してしまった場合や、クライアントのバージョンが古いとアクセスできませんので注意して下さい。
Xserver VPSの実プレイ評価
ワールドの快適度
実際に最下位である「2GBプランで複数人」によりワールドを動作させてみましたが非常に余裕のあるプレイが可能でした。
マイクラサーバーがギリ動くラインの1GBだと特にワールド読み込み時にエラーが出て再度リロードが必要だったりするんですが、流石2GBだけあって読み込み時のエラーは確認できず非常に快適です。
リーズナブルな2GBプランですが高負荷耐性はそこそこ高く、mob大量スポーンや(現実的な範囲での)大量のTNTを絡めてプレイしてみましたが難なくプレイが出来ます。


以下のような非現実的なTNT爆弾を連鎖爆破してやっとクラッシュするほどでしたので、普通にプレイする分には全く問題ないでしょう。

またサーバーがクラッシュした場合には自動的に再起動され、復帰も30秒ほどと早いのも良かったポイントです。
管理ツール
Xserver VPSはマインクラフト専用の管理ツールが用意されており、ゲームの設定変更やワールドのバックアップがウェブ上で行うことが可能です。
特にバックアップはかなり使い勝手がよく、保存・復元が簡単に行えるのはもちろん自動バックアップ機能も付いてるので良い感じです。
設定に関しては主にゲームモード・難易度・プレイヤー間の攻撃という程度なので、必要最低限という印象を持ちました。
(できる操作については次項の「Xserver VPSのマインクラフトマネージャーで出来ること」にて紹介)
ここはイマイチ
惜しいと思ったのが「ワールドデータのアップロード・ダウンロードが出来なかった点」と「古いバージョンへの変更が出来ない点」です。
「既存で遊んでいたワールドでマルチプレイしたい」と思っても管理ツール上では出来ず、コンソールというちょっと難しい操作が必要になってくるためPCライトユーザーにはハードルが高めになっています。
バージョン変更は最新版へのアップグレードは行えるようになっているのですが、MODを使う場合などで古いバージョンにしたい場合はこちらもコンソールを使う必要があります。

とはいえここは「ConoHa VPS」などの他のマイクラVPSもできていないので、仕方ない部分なのかも知れません。
ConoHa VPSの管理ツールとの比較
マイクラ管理ツールといえば「ConoHa VPS」が定番ですが、Xserver VPSでも出来ることはほとんど同じでした。
出来る主な機能を以下に示します。
設定 | Xserver | ConoHa |
---|---|---|
バージョンの確認 | ○ | ○ |
旧バージョンへの変更 | ✕ | ✕ |
ゲームモードの変更 | ○ | ○ |
難易度の変更 | ○ | ○ |
PVPの変更 | ○ | ○ |
ワールドの再生成 | ○ | ◎ |
ホワイトリスト設定 | ○ | ○ |
OP権限の設定 | ○ | ○ |
手動バックアップ | ○ | ○ |
自動バックアップ機能 | ○ | ○ |
ワールドデータのアップロード | ✕ | ✕ |
ほとんど同じなのですがワールドデータの再生成のみ、ConoHa VPSの管理ツールの方が機能が優れていました。
Xserver VPSはワールド再生成時ランダムで生成するのみに対し、ConoHa VPSだとフラット地形やSEED値を指定しての再生成が可能になっています。

それ以外は管理ツール上に大きな違いはありませんでした。
関連 ConoHa VPSによる簡単マインクラフトサーバー立ち上げ
Xserver VPSのマインクラフトマネージャーで出来ること
Xserver VPSでは「マインクラフトマネージャー」というマイクラサーバーを管理するためのツールが提供されており、これによりいくつかの設定変更や管理権限の付与、バックアップなどを行うことができます。
(マインクラフトマネージャーのログイン情報はメールで送られてきます)
バージョン/各種設定
「バージョン/各種設定」では現在動作しているワールドのバージョン確認およびアップデートと、いくつかの設定変更ができます。
各種設定では主に以下の操作が可能です。
- ゲームモード(サバイバル・クリエイティブなど)
- 難易度
- ワールドマップの再生成
- PVP(プレイヤー同士の攻撃有効/無効)
- ワールドサイズ
ホワイトリスト
許可されたプレイヤーのみワールドにアクセスできる「ホワイトリスト」の設定がで行えます。
設定を有効化し登録しておけば、登録していないプレイヤーの接続をブロックすることができます。
権限
プレイヤーにオペレーター権限を付与することができます。(OP権限)
登録されたプレイヤーは【seed】【gamemode】などの上級コマンドが使えるようになります。
バックアップ
バックアップを手動もしくは自動的に保存したり、バックアップからの復元が行なえます。
自動バックアップをONにしておけば1日おきに自動的にバックアップがとられるようになり、データの復元も一覧から「復元」を押すと簡単にワールドに反映できるのでかなりバックアップの使い勝手は良いです。
ワールドのアップロード方法
Xserver VPSでマイクラサーバーを作ると新規ワールドが生成されますが、コンソールを使えばシングルプレイで遊んでいたワールドをアップロードしてプレイすることも可能です。
WinSCPなど外部ソフトを使う方法もありますが、本記事ではVPSのコンソールとPCに標準搭載されているコマンドプロンプトまたはターミナルを使った方法を解説します。
ワールドデータの場所
アップロードを行う前にアップしたいワールドデータの場所を確認しておきましょう。
ワールドデータの保存場所は「ワールド一覧画面」からアップロードしたいワールドを選択し、「ワールド編集」→「ワールドフォルダを開く」から確認することができます。
Windowsの場合、デフォルトだと以下のパスになります。
なおVPSにアップロードする際、日本語および全角文字は受け付けないためワールドフォルダ名は半角英数字のみに変更しておきましょう。
(写真ではhiki_worldに変更しています。ただし【world】は被るのでダメ)
コマンドプロンプト/ターミナルの起動
Windowsの場合:コマンドプロンプトの起動
WindowsではVPSにアクセスするコマンドが追加インストール項目となっていますので、まずはそれを行います。
(Mac OSは最初から使えます)
関連外部リンク Microsoft|WSL のインストール【➚】
Windows左下の「ここに入力して検索」より「cmd」と打ち込み、コマンドプロンプトを管理権限で起動して下さい。
cmdプロンプトを立ち上げましたら「wsl –install」でWSLのインストールを開始することが出来ます。
完了しましたら、以後この画面より操作を行います。
Mac OSの場合:ターミナルの起動
以下のいずれかの方法でターミナルを起動します。
- DockでLaunchpadのアイコン
をクリックして、検索フィールドに「ターミナル」と入力してから、「ターミナル」をクリック。
- Finder
で、「/アプリケーション/ユーティリティ」フォルダを開いてから、「ターミナル」をダブルクリック。
転送コマンドの入力
コマンドプロンプト/ターミナルから転送コマンド(SCP)を入力して、サーバーにファイルをアップロードします。
VPSへの転送コマンド構文は以下の通り。
以下は例ですが、こんな感じでフォルダパスとVPSのIPアドレスをはめ込みましょう。
これをコマンドプロンプト・ターミナルに打ち込みEnterを押します。


初回接続時は「ホストの信頼性を確率できません。繋ぎますか?」と聞かれるので「yes」と入力してEnterを押します。
(キー入力は表示されませんがちゃんと入力されています)
VSPへのパスワード入力が求められますので、VPS申込み時に設定した「rootパスワード」を入力します。
(こちらもキー入力は表示されませんがちゃんと入力されています)
パスワードを入力すると転送が始まり、ほどなくワールドがVPSにアップロードされます。
アップロード自体はこのように簡単です。
ファイル所有者を変更する
先程アップロードしたワールドデータは所有者がrootユーザーになっていますが、VPS側でマインクラフトのサーバープログラムを動作するのは別ユーザーであるminecraftになっています。
そのためアップロードしたワールドフォルダの所有者をrootからminecraftに変更しないと、実行権限エラーでワールドを起動できません。
所有者の変更はVPS側のコンソールにて行います。

まずはコンソールにログインします。
ユーザー名である「root」を入力してEnterを押し、VPS申込み時に設定した「rootパスワード」を入力してEnterキーを押します。
(パスワード入力は表示されませんが入力されています)

失敗すると再度ユーザー名を求められる。
ログインに成功しましたらコンソールに以下の所有者変更のコマンドを打ち込み、Enterを押して実行します。
例だとこんな感じです。
上記のようにエラーが出なければVPSのワールドデータ(/opt/minecraft/server/hiki_world)の所有者がminecraftに変わっています。
サーバーの稼働ワールドの変更
VPSで稼働するワールドはデフォルトでは「world」フォルダとなっていますので、アップロードしたワールドフォルダへの変更が必要です。
稼働するワールドフォルダの変更はserver.propertiesの【level-name】項目にて指定することができます。
server.propertiesの編集方法は色々ありますが、コンソールに不慣れな場合はnanoコマンドが簡単かと思います。
(慣れてるならviコマンドなどでどうぞ)
level-nameが「world」となっていますので、ここをアップロードしたワールドのフォルダ名に変更します。
(例だとlevel-name=hiki_world)
変更したら「Ctrl+X」で終了させ、セーブしますか?と出るので「Y」を押し、そのまま「Enterキー」で上書き保存を行います。


これでコンソールで行う作業は終了です。
サーバープログラムの再起動
変更したserver.propertiesはサーバープログラムを再起動しないと設定が反映されないので、再起動を行いましょう。
再起動はVPS本体を直接再起動しても構いませんし、マイクラマネージャーで一度停止させ再度起動させる方法でもOKです。

再起動後、しばらく待ってからワールドに接続してみると・・・。
見慣れたワールドが確認できました!
よくある質問
マイクラマネージャーへのログイン方法が分かりません。IDとパスワードは何ですか?
VPS管理画面よりマインクラフトマネージャーへアクセスできますが、アクセスしようとすると以下のようにIDとパスワードを求められます。
この時入力するログインとパスワードはサーバーの設定完了時に送られてくるメールに記載されているものを入力します。
(申込み時に設定したパスワードと異なるので注意)

一度メールを確認してみましょう。