エックスサーバー派生の『シンVPS』を使ったマイクラサーバーの運用について、機能の比較やサーバー性能についてのレビューです。
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シンVPSとは?
現在最も定番マイクラサーバーである『Xserver VPS for Game』を提供するエックスサーバー株式会社ですが、そのエックスサーバーのグループ会社(子会社?)である『シンクラウド株式会社』が提供しているレンタルサーバーが『シンVPS』です。
エックスサーバーは安定性を重視したサービスを目指す一方で、シンクラウドは革新性・スピード感をより重視し、サーバー性能をさらに上げていくことを目指しています。
『シンVPS』は基本的に『Xserver VPS for Game』『Xserver VPS』と根底が同じサービスとなっており、マイクラサーバーとしては使える機能は同じです。しかしながらサーバー処理やハードウェアなど見えない部分で新しい技術を革新的に取り組み、速度を改善しているのが『シンVPS』であります。
このたび、エックスサーバー株式会社は、新たなグループ会社である「シンクラウド株式会社」を設立しました。
弊社エックスサーバーは、引き続き安定性を重視したサービス品質の向上に注力する一方、新設された「シンクラウド株式会社」では、新たな組織体制の下、革新性・スピード感に比重を置き、レンタルサーバー・クラウドホスティング業界の既成概念を打ち破るサービスの提供を目指してまいります。
外部リンク シン・VPS
定番サーバーと機能・値段の比較
現在マイクラサーバーとしては『Xserver VPS for Game』『ConoHa for GAME』が断トツで代表的かと思います。
それらと「表記スペック」・「マイクラサーバーに関する機能」・「料金」を2Gプランでまとめたものが以下の通り。
シンVPS | Xserver for Game |
ConoHa for GAME |
|
---|---|---|---|
vCPU | 3コア | 3コア | 3コア |
ディスク容量 | 150GB (NVMe SSD) |
50GB (NVMe SSD) |
100GB (SSD) |
簡単作成 | ○ | ○ | ○ |
管理ツール | ○ | ○ | ○ |
バックアップ機能 | ○ | ○ | ○ |
MOD プラグイン対応 |
○ | ○ | ○ |
月額料金 | 1,850円/月 (2GBプラン) |
1,150円/月 (2GBプラン) |
1,144円/月 (2GBプラン) |
こんな感じで、基本的な機能は全部同じです。
サーバー容量は『Xserver VPS for Game』と比べると3倍にはなっていますが、マイクラだと7人で1~2年遊んでもワールドデータが3Gいかない程度ですので、何十人以上で遊んだりMODやプラグインを入れない限りは使い切れないかと思います。
(逆に言うとデータを多く使用するMODやプラグインを入れる場合は有用性が上がりますね)
『Xserver VPS for Game』と比べると1.6倍値段が高いのですが、表記情報だけではサーバー性能が分かりません。実際のサーバー性能については性能が良くなっているのですが、そちらに関しては記事の下の方で紹介します。
外部リンク Xserver VPS for Game
外部リンク ConoHa for Game
シンVPSによるマイクラサーバーの始め方
『シンVPS』でのマイクラサーバー作成は会員登録後、サーバーのお申し込み画面でイメージタイプに「Minecraft」を選ぶのみです。
最初の一覧には出てきませんが「アプリケーション」をクリックすればマインクラフトが選べるようになります。Java版と統合版が異なる点には注意が必要です。
MODサーバーやプラグインサーバーを作りたい場合は「他のアプリケーションを表示する」をクリックすれば、色々出てきますので「Minecraft(Forge)」や「Minecraft(Paper)」など好みのサーバーを選んで下さい。
上記を設定後、画面を進めればサーバー作成(契約)と同時にマイクラサーバーが作成されます。
なお2023年3月現在では1GBプランでもマインクラフトを選択することが出来ますが、2GBプラン以上じゃないとまともには動かないと思われます。(運が良ければ起動できるレベルじゃないでしょうか)
アドレスの確認とワールドへの接続
マイクラからのアクセスにはサーバーアドレス(住所)が必要ですので、確認しましょう。
作成したサーバーが一覧に出てきているのでそれの「VPS管理」を押します。
画面に表示されている「IPアドレス」の部分がサーバーアドレスになります。これをメモなりコピーなりで覚えておきます。
次にマイクラ側でタイトル画面から「マルチプレイ」に入り、「サーバーを追加」または「ダイレクト接続」を押して下さい。今回は例としてダイレクト接続を行ってみます。
先程のIPアドレスを入力後、「サーバーに接続」を押すと・・・。
こんな感じで簡単にマイクラサーバーを作ることが出来ます。
マイクラサーバーに関する管理画面
『シンVPS』ではワールド設定やバックアップなどができる「マイクラマネージャー」機能が備わっており、難しい設定操作やバックアップなどをブラウザ上で簡単にすることが可能です。
マイクラマネージャーが有する機能としては以下の通り。
- いくつかのワールド設定の変更(難易度とゲームモード、プレイヤー間のダメージの有効・無効設定)
- 特定のユーザーのみ接続できるようにする機能
- プレイヤーの管理権限・OP設定
- バックアップ・復元機能
- MOD・プラグインの追加・削除(MOD/プラグインサーバーのみ)
- サーバーログのダウンロード
- バージョンのアップデート(MOD/プラグインでは使えない)
本来は英語だけの難しいサーバー設定ファイルを設定したり、コマンドだけのPC画面(コンソール)で操作しないといけない部分を、ブラウザ上でログインして見たまんま操作することが出来ます。これはコンソール操作をやったことが無い人には非常に嬉しいポイントです。
Xserverのマイクラマネージャーと同じ
なお管理機能およびマインクラフトマネージャーについては『Xserver VPS for Game』と全く同じです。
上はシンVPSの画面ですが、エックスサーバーの場合は以下の通りです。
上のロゴが変わっただけですね。もし『Xserver VPS for Game』と機能面で不安なようでしたら、使える機能は全く同じでございますのでそこは安心です。
マイクラサーバーの性能ベンチマーク
実際にJava版マイクラサーバーのVer1.20.4を導入し、各種ゲーム内の処理にかかった時間を『シンVPS』、あと定番の『Xserver VPS for Game』と『ConoHa for GAME』で測定しました。(金曜日の21時~22時の人が最も多くなる時間帯で測定)
測定項目 | 測定内容 |
---|---|
ワールド作成をともなう 起動にかかった時間 |
サーバーの「world」フォルダが無い状態で、コンソール上からマイクラサーバーを起動し、ログに出力される起動時間を確認。([Server thread/INFO]: Done (秒数s)! For help, type “help”のところ) |
20x20x20のTNT爆弾の 爆破処理にかかった時間 |
平原バイオームの地面に「fillコマンド」で20x20x20のTNT爆弾を設置・着火し、最初のTNT爆弾が爆発した時から連鎖爆破が全て完了し地形描画が終わった時間を測定。 なおクラッシュしても巻き戻らないように「save-all」コマンドを逐次入力。 |
新規の 地形生成にかかる時間 |
「tpコマンド」でワールドデータが全く生成されてない新規地点にテレポートし、目に見える全ての地形が生成できる・視認できるようになるまでの時間を測定。 |
具体的なベンチマーク方法については、「『Xserver』と『ConoHa』、マイクラサーバーが快適なのはどっち?」の内容と同じですので、詳しくはそちらをご覧ください。
ベンチマーク結果
計測結果を表にまとめたものが以下です。
シンVPS | Xserver | ConoHa | |
---|---|---|---|
ワールド作成をともなう 起動にかかった時間 |
38.655秒 | 45.927秒 | 71.075秒 |
20x20x20のTNT爆弾の 爆破処理にかかった時間 |
107秒 うちサーバークラッシュが1回。 |
140秒 うちサーバークラッシュが1回。 |
348秒 うちサーバークラッシュが2回。 |
新規の 地形生成にかかる時間 |
35秒 | 37秒 | 107秒 |
全体的に処理速度が早い『シンVPS』ですが、特にTNT爆弾の爆破処理は後もう少しで全部爆破しきるというタイミングでサーバークラッシュしたのでかなり惜しかったです。再起動後ワールドに入り直すとすぐに処理が終わりましたので、1回目でほとんど爆破したことになります。
エックスサーバーの方はまだまだ爆破が必要でしたので、TNT爆破処理に関しては「かなり良くなっている!」と感じます。爆風間隔も(特に終盤)レスポンスが良かったです。
対して新規の地形生成にかかる時間は正直ストップウォッチの停止ボタンを押すタイミングの誤差の範囲で、こちらは『Xserver VPS for Game』とほとんど差がありませんでした。
『ConoHa』は明確に遅いのですが、これはディスクが『Xserver』と『シンVPS』が高速なNVMeSSDに対し、『ConoHa』はただのSSDという理由だからじゃないでしょうか。
結果を分かりやすくグラフ化したものを示します。今回はグラフが高い方が性能が良く見えるよう1000秒あたりの処理回数に換算しました。
総評すると『ConoHa for GAME』と比べるとめちゃくちゃ性能が高く、グループ会社の『Xserver VPS for Game』と比べると一回り性能が良いです。
※本記事のデータは2024/03調査時のもの(マイクラVer1.20.4)です。
※レンタルサーバーは同じサーバーに収容された他のユーザーとの兼ね合い、今後のスペック強化によっても変わって来ますので1つの参考までに!
総評
『シンVPS』は「マイクラ簡単導入」「マイクラ管理機能」「MOD/プラグイン対応」という機能を持つレンタルサーバーの中では最高性能のサーバーといえるでしょう。
そのような特徴を持つレンタルサーバーは『Xserver VPS for Game』と『ConoHa for Game』が代表的ですが、それらの中では処理スピードが最も早いです。
『ConoHa for GAME』と比べるとめちゃくちゃ性能が良いのでこれは言うまでありませんが、『Xserver VPS for Game』と比べて値段も性能もひと回り高いので、ここに価値を感じられるかどうかが大きなポイント。性能はシンVPSが一番なのですが、エックスサーバーも値段コスパを考えると捨てきれないですね。
配信者とかお金は少し高くなっても良いから快適なサーバーを運用したい!という方には間違いなくシンVPSがオススメなのですが、マイクラはどんどんアプデで重たくなるのでそれを見越してシンVPSを長期契約するのも悪くない選択肢かと思います。
(現にConoHa for Gameの2GBプランではJava版Ver1.20.4の時点で、起動時にハングアップの警告ログが出ることを確認しています。今回の試験中にも確認できました)
なおこの手のレンタルサーバーはたまにキャンペーンでかなり安くなったりするので、一度チェックしてみるのも良いでしょう。以上参考までに。
その他にもレンタルサーバーレビューを行っていますので、是非「カテゴリー:レンタルサーバー/VPS」もご覧くださいませ。