PC、PS3、XBOX360で発売中の「Fallout NEW VEGAS」のレビューです。(軽度のネタバレあり)
今回はDLCなしのPS3版となります。
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Falloutシリーズがどういったものかわからない方は前作「Fallout3」の記事を参照してください。
概要
ベセスダソフトワークスが発売した、核戦争後の世界を冒険するFPSまたはTPSのオープンワールド型アクションRPG。
前作「Fallout3」の続編ではありますが、開発は元々Falloutシリーズを開発していたスタッフが居る「Obsidian Entertainment」社が担当しています。
食料や水を求めて襲ってくる「レイダー」に、放射能によって巨大化した生物や暴走したロボットがうろつくような、極限の世界での体験を味わえます。
1950年代のアメリカが思い描いたような未来がモチーフで、召使いのようなブリキロボットに核融合エンジンの車など、レトロな雰囲気を感じられるような作りです。
プレイの様子
メインストーリー
前作「Fallout3」から4年後、背景のある前作主人公とは違ってこちらは背景不明の主人公。
運び屋である主人公はある「重要なモノ」を運んでいましたが、その道中正体不明の集団に頭を撃たれ、その「重要なモノ」が奪われてしまいます。
自分を撃った連中を追うのは運び屋としての矜持かあるいは復讐か。
どのように行動するのかは全てプレイヤーの自由です。
舞台は核の直撃を免れたニューベガス
舞台となるのは核戦争時代、核ミサイルの直撃を免れたラスベガス地方がニューベガスとして蘇ります。
かつての輝きほどではないものの、核で荒れ果てた不毛の地におけるニューベガスの光は非常にきらびやか。
前作では都市部のワシントンD.C.が舞台でしたが、今作では都市部は一部のみで荒野や砂漠はもちろん森、雪山、川など自然が多めのロケーションになってます。
どの派閥に加担するか
自分を撃った連中を追っていくうちに、ニューベガスを支配する3つの派閥の争いに巻き込まれます。
近代的で最大規模の軍隊である「NCR」、古代ローマを彷彿とさせるような少数精鋭の軍隊「リージョン」、はるか昔からニューベガスを支配してきたと噂される「Mr.ハウス」。
あるいはどの派閥にも属せず、自ら支配者となるといった選択肢も…。
どの派閥に属するかによってエンディングは変わります。
また各勢力にはそれぞれ友好度があり、敵対する派閥に属していたり、敵対的な行動を取り続けると襲われることも。
基本的なゲームシステムはそのまま
基本的なステータスやスキルなどの仕様は前作と同じです。
ですがバランス調整がされていて、前作で死にスキルだったものが今作が有用になっていたり、スキルやステータス面では前作よりも良いバランスになっていました。
また防御力のシステムが大きく変更されていて、敵の防御力を超える攻撃力がないとダメージが通りにくい仕様となってます。
Falloutシリーズでおなじみの「V.A.T.S.」システムも弱体化したものの、しっかり引き継がれているのもポイント。
コンパニオンシステムの大幅強化
前作でもあった仲間として旅に同行してくれる「コンパニオン」システムが大幅に強化されています。
今作ではコンパニオンとの会話が大幅に増えたり各員にクエストが追加された他、細かく戦闘スタイルを指示できたり戦闘要員としてもかなり優秀になりました。
よりリアルな体験ができるハードコアモード
「ハードコアモード」ではよりリアリティのある冒険を楽しめます。
時間経過によって空腹や脱水症状、睡眠不足に陥ったり、弾薬にも重さが生まれ大量に持ち歩けなくなりました。
さらに通常モードでのアイテムを使った体力回復は即時回復でしたが、ハードコアモードではアイテムを使っても時間経過で徐々に回復するといった、より難易度の高いモードとなってます。
様々なギャンブル
「ベガス」が舞台なだけあって、ギャンブルが豊富です。
ルーレットにスロット、ブラックジャックや商人たちの間で流行ってる「キャラバン」があります。
難易度は非常に高い
前作と比べても難易度は非常に高いです。
前作をそれなりにやり込んで、ある程度セオリーを知っていても苦戦するような難易度でした。
難易度はいつでも自由に変更することができますが、それでも今作のシステムをよく理解していないと苦戦する程の難易度です。
良かったところ
各地の探索とサブクエスト
前作に引き続き、荒廃した世界での冒険は最高でした!
冒険のボリュームは前作ほどではなかったものの、一部のサブクエストは非常に良く出来ており、その一本だけでも個人的には名作映画を見たぐらいの満足感を味わえるほどです。
登場するキャラクターそれぞれに思惑や背景といったところがドラマ性を高め、より広がった選択肢も含めて今回も唯一無二の冒険として楽しませてくれました。
またエンディングにサブクエストに関わった人々のその後が語られるのもグッド!
ハードコアモードによる過酷でリアルな冒険
「ハードコアモード」では適度に水分や食料を摂ったり睡眠時間を取る必要があるので、他のゲームだとただ面倒なだけのシステムなのですが、このFalloutにおいては違います。
このゲームの最大の魅力はそういった荒廃した世界の冒険を体験することなので、よりリアリティが増して没入感が生まれました。
核戦争後の世界では水や食料も貴重品であることを、プレイヤーは身をもって実感することができます。
より深みのあるロールプレイ
前作と比べてもより深みのあるロールプレイを楽しむことができたと思います。
話術などのスキルがより重要視されるようになったり、より多くのNPCを○せるようになったり…。
主人公がただの運び屋でその背景が全く不明なところもロールプレイの自由さに一役買ってます。
クエストの選択肢やマルチエンディングの種類も多く、自分の思った行動を反映させやすくロールプレイにおいては前作を上回っていたと思います。
ここはイマイチ
相変わらずのバグやフリーズ
前作と同様に、バグやフリーズが非常に多いです。
Fallout3でもあったセーブデータの巨大化によるフリーズも健在で、やり込めばやり込むほどフリーズに遭遇する確率が上がります。
また今作で大幅に強化されたコンパニオンシステムはバグにおいても強化されており、行方不明になったり持たせたアイテムが消失したりと致命的なバグも多いです。
どの勢力を選んでも同じような流れ
メインクエストの中盤からは、ニューベガスを支配する3つの派閥に付くか、自ら支配者となるといった選択肢が用意されますが、どの派閥を選ぼうが大体させられる事は同じです。
基本的にはある勢力を協力関係を結んでくる、あるいは無力化してこいなどの使いっ走りです。
しかも複数の勢力に対して行う必要があるので、正直なところかなりダレます。
このゲームに求めているのは冒険や探索であって、何度も繰り返させられる使いっ走りではないので中盤以降のメインクエストについてはガッカリでした。
自由な冒険を妨害するような配置
前作では地上に出て以降、自由にマップを探索することが出来ましたが、今作ではそれがほぼ不可能となってます。
プレイヤーの道を塞ぐかのように配置された強力なモンスター「カサドレス」や「デスクロー」などが徘徊しているので、始めたばかりの装備やスキルでは通ること非常に困難。
さらに見えない壁も多く実際に移動できる範囲がかなり狭まっているという問題点も…。
なのでメインクエストに沿ってマップを探索していけと言わんばかりの設計となってます。
自由に行動できることがオープンワールドの魅力の1つなので、そういった魅力を奪っている仕様は残念でした。
遠距離武器が弱すぎるゲームバランス
リアル寄りなゲームなので当然戦闘には銃を使ったりあるいは爆発物を使ったりするのですが、正直弱すぎると感じました。
この作品では防御力のシステムが一新されたので半端な攻撃力ではダメージが通りにくく、マシンガンやショットガンなど複数ヒットでダメージを稼ぐ武器はかなり弱くなってます。
防御力を貫通する「AP弾」というのもありますが、希少なので迂闊に使えなかったり…。
しかもハードコアモードでは弾薬に重さがあるので余分な弾を持って冒険するのは難しく、特にミサイルランチャーやグレネードライフルなどの重火器は持ち歩くのが困難となってます。
それらに加え「V.A.T.S.」システムが大幅に弱体化しており、命中率が異常に低いところも遠距離武器が弱く感じる理由です。
結局の所こちらもガチガチに防御力を上げて近接武器で殴りまくるという脳筋が、1番楽で強かったというリアリティとは程遠いゲームバランスに仕上がっていたように思えます。
総評、終わりに
前作同様に核戦争後の世界を冒険できるのは非常に楽しくこのゲームならではの面白さ。
ハードコアモードの追加やバックボーンを持たない主人公など、ロールプレイにおいては前作を上回ります。
全体のストーリーとしては、各地のサブクエストはユニークでドラマ性があって非常に良かったのですが、物語の本筋であるメインクエストの出来はイマイチでした。
どの派閥を選んだかでストーリーが分岐するのに、結局は同じような使いっ走りをさせられるだけの内容で、ロールプレイの楽しさを損なっているように感じられます。
相変わらずゲームシステムはわかりにくく、難易度もいつでも調整可能とはいえ前作と比べてもかなり高くなっているので、Falloutシリーズの経験者やゲーマー向けの作品です。
バグやフリーズも悪化しているので、総じて前作より癖の強い問題作に仕上がっています。
あと今回もグロテスクな表現はあるので苦手な方は注意!
もし購入するならバグ・フリーズ回避のためCS版でなくPC版にした方が良いです。