PS3で発売された「Demon’s Souls」のネタバレ無しレビューです。
高難易度が注目されがちですが、手堅く良く練られた戦闘や随所に散りばめられた開発者のアイディアが光る作品でもあります。
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概要
Demon’s Souls(デモンズソウル)とは「フロム・ソフトウェア」が開発し「ソニー・コンピュータエンタテインメント」が発売したアクションRPG。
ダークファンタジーな世界観と、トライアンドエラー必須の高難易度が特徴です。
ダークソウルをはじめとした「souls」シリーズの最初の作品でもあります。
プレイの様子
多くは語らないストーリー
老王オーラントは「獣」を目覚めさせ、北の大国「ボーレタリア」は濃霧に覆われデーモンが生まれた。
デーモンが人々から奪った「ソウル」は、手にすれば人外の力をもたらすであろうと言われている。
ソウルを求めて数々の英雄がボーレタリアを目指しては誰一人戻ることはなかった。
そんな中ボーレタリアに旅立ったうちの一人、それがプレイヤーです。
フロムソフトウェアらしく、ストーリーの多くは語らないスタイル。
普通にプレイしていると分かりづらいですが、人々のセリフなどを読み解いていくとよりストーリーの深みが増します。
暗めなダークファンタジー
暗めで強烈なダークファンタジー調の世界観となってます。
いわゆるスプラッターなどの暴力的表現が過激というわけではないですが、「グロい」「キモい」表現が大量。
そういった要素に耐性がない方には絶対にオススメできない作品でした。
3人称視点のアクションRPG
よくある3人称視点のアクションRPGです。
スタミナ制を採用しており、攻撃だけでなく回避や防御が重要となってます。
RPG要素は各種ステータスに各種装備などありますが、結局の所ゲームバランスはアクションに寄るところが大きいです。
全5面からなるステージクリア型
拠点となる「楔の神殿」からそれぞれ5つのダンジョンに行き来し、攻略していきます。
それぞれのダンジョンのボリュームはそこまでではないですが、各ステージの密度は非常に濃いです。
ソウルを集めて自身を強化
経験値にもお金にもなる「ソウル」を集めることで自身をレベルアップしたり、装備を整えたりできます。
ソウルは死んでしまうと全て無くなりますが、死んだ地点まで戻ると回収が可能。
自由なキャラクターメイク
新しいセーブデータを作るときのみ、顔や体格などのキャラメイクができます。
レベルごとにステータスも自由に振ることができますが、振り直しはできません。
トライアンドエラー必須の高難易度
不意打ちが多かったり、敵の攻撃力が異常に高かったりで、とにかく高難易度。
敵の行動や配置などを覚えて丁寧に進んでいかないと、すぐに死んでしまうほどに難しいです。
ですがその分クリアしたときの達成感は格別!
ファントムによる侵入と召喚
このゲームでは「ファントム」と呼ばれる対人、あるいは協力要素があります。
オンラインに接続していると他のプレイヤーが敵となる「黒ファントム」として侵入してきたり、逆に味方となる「青ファントム」を召喚することが可能。
他のプレイヤーがプレイしている世界に、敵や味方として扮することができるのは新鮮でした。
(2018年2月にオンラインサービスは終了しました。)
良かったところ
地味ながら手応えのある戦闘
爽快な攻撃で敵を圧倒する…なんて派手さはないですが、アクションの肝である戦闘部分はかなり面白かったです。
特に「スタミナ」によって制限される「攻撃」・「防御」・「回避」のバランスが非常に良い!
攻撃でゴリ押ししようにも途中でスタミナが切れてしまうので、なかなかそうはさせてくれなかったり。
それだけでなく相手の方がリーチが長かったり、複数の相手に襲われたりするので、こちらの攻撃がストレートに入ってくれることなんてそれほどないです。
敵のスキを窺おうと盾を構えて防御に徹しようとも、攻撃を受け続けると盾がめくられるので防御だけでなく、回避も混ぜていく必要があります。
そういった攻撃と守りの駆け引きが絶妙で、一撃一撃に手応えが感じられる調整がされているところが、この作品及びsoulsシリーズの大きな魅力ではないでしょうか。
開発者のセンスが光る「発見」要素
この作品のはボスやマップの数こそ少ないですが、攻略ルートやアイテムの隠し方、ボスの弱点など「発見」に重点を置いた、秀逸なデザインだと感じました。
マップは密度が濃くあちこちにアイテムを遠くから見つけることができるものの、実際に手に入れようとすると入手の仕方がわからなかったりします。
ですがよく観察してマップを見渡してみると思わぬところからアイテムを手に入れられたりするので、狭いマップながらも探索が楽しかったです。
ルートやアイテムの隠し方が巧妙で、思わぬ場所から発見することができるので探索のしがいがありました。
またボスもしっかり練られた設計がされており、一見手も足も出ない強力なボスもちゃんと弱点が設定されていたりします。
しっかり観察すれば見つかるようなヒントを出してくれているので、そういった気づかせるようなヒントの出し方に開発者のセンスが感じられました。
この「発見」の要素、特にボスのデザインは今なおsoulsシリーズ1番の出来だと思ってます。
ここはイマイチ
扱いづらいロックオンシステム
操作性にUIも良好な本作ではありますが、唯一許せないシステムそれが「ロックオン」です。
3人称視点のアクションならほぼ必須と言っても過言ではないシステムですが、正直扱いづらいクソシステムでした。
その理由は2つあり、1つ目は敵を倒したときに起きるロックオン対象の切り替え。
狭い道で複数の敵に襲われるような状況によくなりますが、敵のHPが0になって倒れ込んだ後に、即近くの敵に切り替わります。
基本的に武器は踏み込みながら攻撃するので急に視点が切り替わると、そのまま崖に踏み込んでもれなく「YOU DIED」の文字を拝むことに…。
もう一つの理由はロックオン距離が異常に短いこと。
相手がどれだけ大きかろうが、結構近づかないとロックオンできません。
さらに盾を構えているときに敵から離れてロックオン範囲から外れると、急にカメラがプレイヤーの正面を向くことになります。
それが問題になりやすいのがボス戦で、草を食べて回復しようとするとき(アイテムを使うには一定の隙が生まれます)ボスから離れようとします。
離れすぎるとロックオンが解除され、急にカメラが明後日の方向に向くのでかなり焦ります。
特に魔法職ならロックオンしないと攻撃を当てるのは難しいので、このロックオンシステムには苦しめられることに…。
やっぱりプレイヤーの意図しない動作をされるとストレスが溜まるもんです。
死にゲーの割にはリトライ性に欠ける
マップの移動や、死亡時など何度もローディング画面を見るわけですが、正直ロードがかなり長いです。
トライアンドエラーが前提といってもいい高難易度なので、長いロードを繰り返し行われるのはなかなかストレスになります。
さらに死んでしまうとほとんどの敵が復活するので、「またあそこまで行かなきゃいけないのか…」となりがちです。
それが長いロード時間と合わせると、なんだかめんどくさくなって投げやりなプレイになってまた死ぬという、負のスパイラルに陥ったりしました。
総評、終わりに
フロム・ソフトウェアが送るダークファンタジーを世界観としたアクションRPG。
soulsシリーズの最初の作品で荒削りなところも多いですが、ゲームデザインは既に完成されているように感じられました。
死んで覚える高難易度な作りではありますが、よく観察すれば活路を見い出すことができるマップやボスのデザイン。
ヒントの出し方やプレイヤーに学習させるやり方などに開発者のセンスが光ります。
そして高難易度ながらも何度もリトライしたくなるのは、やっぱり戦闘を中心としたゲーム部分がよくできているからだと思いました。
スタミナ制を最大限に活かした、攻めと守りのバランスが絶妙で、派手さはないものの手堅い作りで面白い。
強烈な「グロい」「キモい」要素があったり、非常に高い難易度だったりとても万人にオススメできる作品ではないですが、負けず嫌いの方やゲーマーなどにはオススメできる作品でした。