
TVアニメ「少女終末旅行」の感想と作品の紹介をしていきます。(ネタバレなし)
見どころやおすすめポイントなど紹介。
作品の概要
繁栄と栄華を極めた人間たちの文明が崩壊してから長い年月が過ぎた。
生き物のほとんどが死に絶え、全てが終わってしまった世界。
残されたのは廃墟となった巨大都市と朽ち果てた機械だけ。
いつ世界は終わってしまったのか、なぜ世界は終わってしまったのか、
そんなことを疑問にさえ思わなくなった終わりの世界で、
ふたりぼっちになってしまった少女、チトとユーリ。
ふたりは今日も延々と続く廃墟の中を、
愛車ケッテンクラートに乗って、あてもなく彷徨う。
冷静で頭脳明晰な性格の「チト」と楽観的で器用な「ユーリ」が、文明が崩壊した後の世界を放浪するディストピアファンタジー。
かつての文明が残した廃墟を舞台に、生存者たちとの交流などを経験しながら巨大都市の頂上を目指します。
WEB漫画サイト「くらげバンチ」で連載されていた漫画が原作です。
全12話
ジャンル:ファンタジー、SF
監督:尾崎隆晴
シリーズ構成:筆安一幸
キャラクターデザイン:戸田麻衣
音楽:末廣健一郎
アニメーション制作:WHITE FOX
ユーリ:久保ユリカ
個人的な感想
良くできた何気ない雰囲気
言葉にすることが難しい(語彙力が足らないだけですが)この作品を、一言であらわすなら非常に良く出来た雰囲気アニメでしょうか。
ガレキだらけの廃墟、寂れた廃工場、降り積もる雪。
大きな戦争の後を想像させるような荒廃した世界。
そういった何もない無機質な雰囲気を丁寧に描いています。
その雰囲気を上手く活かすように想像させ余韻を残すような、静かだけどもメッセージ性のあるエピソードが多かったように思えました。
絶望的だけど明るい
終末世界だけあって、デフォルメの効いたデザインとは裏腹にかなり過酷な世界観だったりします。
僕は終末世界と聞くと「北斗の拳」や「Fallout」のようにモヒカンがヒャッハー!してくる世界を想像しますが、全くもってそんなことはなかったです。
とはいえ暴力が支配する世界ではないだけで、生き抜くために限られた食料を奪い合うぐらいには厳しい世界。
そんな中、少女2人だけで旅をするという過酷な状況に置かれてるわけですが、あまり暗さを感じさせません。
基本的には少女2人がゆる~くだべりながら旅をするので、日常系では?と思わせるぐらいには明るい雰囲気です。
絶望的だけど明るいこの独特な雰囲気が、この作品の他にはないユニークさだと思います。
荒廃した世界、未知との遭遇
荒廃した世界で少女2人の旅は、未知との遭遇ばかりです。
ここで言う未知というものは、最盛期の人類が残したオーバーテクノロジーのような、僕らにとっての未知だけではありません。
チトとユーリの暮らす世界はあらゆるものの知識が失われてるので、現代の何気ない知識であっても彼女たちにとっては未知のモノだったりするのです。
彼女たちには「魚」や「チョコ」、「カメラ」などの知識すら持っていません。
それら未知のモノに対する2人の反応が面白いので、SF好きとしてはなかなか見ごたえがありました。
他にも馴染みのない風習やちょっと変わった文化といったポイントも、なかなか個人的なツボをついてきてます。
また終末に生きる人々のヒューマンドラマも面白く、過酷な世界でちょっと変わった生きがいに没頭する姿はいろいろと考えさせられるものがありました。

こんな人に特にオススメ
退廃した雰囲気を味わいたい
やはりこの作品で魅力的なのはこの終末の雰囲気だと思います。
舞台となるのはガレキの山や廃工場、捨てられた施設ばかりなので、退廃的な世界観が好きな方へオススメです。
おわりに
文明が崩壊し、荒廃した世界で2人の少女が旅をするディストピアファンタジー。
生物の気配が感じられない廃墟やガレキの山などを、ゆる~くだべりながら旅をします。
退廃的で無機質な雰囲気づくりが見事で、何もない文明崩壊後の終末感を味わえるのもポイント。
多くは語らないものの過去の人類がどのように生活していたのかなど、想像力を刺激するようなSF要素も面白いです。
人類衰退の謎を追って解決する!などといった壮大なストーリーがあるわけではないので、エンタメ性には少し欠けるかもしれません。
あくまでも終末を生きる普通の少女2人のなんでもない旅なのです。
なので人を選ぶ作品かもしれませんがこの作り上げられた退廃的な雰囲気は本物なので、気になった方はぜひ見てこの世界観に浸ってもらえればと思います。